WindFloat 1プロジェクトは、2011年にポルトガルのヴィアナ・ド・カステロ沖に設置され、2 MWのVestas V-80風力タービンが設置されました。
この技術実証プロジェクトは、風力タービンとセミサブ型プラットフォームを組み合わせた世界初の浮体式風力発電の試みでした。
WindFloat 1は、波高17 m超、風速40m/超といった大西洋の厳しい気象条件に耐え、この技術の堅牢性を実証しました。このユニットは、有義波高7 mまでの海域で発電し、Kincardineプロジェクトの新しいサイトに移動するまでに、約17 GWhの電力を地域の送電網に供給しました。
2011
2 MW
Vestas V80
2 MW
5 年
5 km
45 m
プリンシプルパワー、EDP、Repsol、Portugal Ventures、A. Silva Matos
EDP
ABS
浮体式風力タービンと石油・ガスプラットフォームの大きな違いは、タワーの基部に大きな空気力学的な力が働くため、タービン自体がプラットフォームの動きに影響を与えることです。逆に、プラットフォームの動きは、見かけの風の効果により、タービンの動作に影響を与えます。このように2つのシステムの間には強い相互作用があるため、適切な性能を確保するためには、設計段階において考慮する必要があります。
ライフサイクル全体でコストを削減することを意図して、複数の縮尺モデルによる試運転の結果が全体設計プロセスに組み込まれました。この成熟度が、実証プロジェクトを成功に導く基礎となりました。
プリンシパルパワーは、2009年にWindFloat®技術の知的財産権を取得した後、ポルトガル最大の電力会社であり、世界第4位の風力発電事業者であるEDP社と共にポルトガルでこの技術を実証する機会を得ました。
2011年10 月、ポルトガルのリスボンのすぐ南で WindFloat®に2 MWのVestas V-80 風力タービンが設置され、試運転が行われました。そ後完全に組み立てられたユニットは、タグボートによって約400 km牽引され、最終的にポルトガルのアグサドゥラ沖 5 kmに設置されました。
WindFloat 1のプロトタイプは、5年間の試運転機関中にすべての設計上の期待に応えるか、それを上回るパフォーマンスを発揮し、商用化への次のステップである25 MW WindFloat Atlanticプロジェクトへの準備が整っていることが証明されました。
私たちは技術開発段階において達成したことに非常に満足しています。WindFloat 1の試運転プログラムを一歩ずつ進め、それぞれの節目で、WindFloat®技術の有効性と市場をリードする可能性を証明しました。私たちは、このプロトタイプから学習したすべてのことを現在および将来の設計に反映させ、今後数年間でプロジェクトのパイプラインをさらに実現することを楽しみにしています。
- アントワン・パイファー、プリンシプルパワー・エンジニアリング統括責任者
2016年7月、実証試験に設定されたすべての目標を達成した後、プリンシパルパワーは WindFloat 1の撤去作業を開始しました。地元の船舶がプロジェクトサイトに動員され、WindFloat®プラットフォームを係留索と電気ケーブルから切り離す作業を行いました。その後、ユニットをシネス港に曳航し、標準的な陸上クレーンによって風力タービンをユニットから取り外しました。風力タービンとプラットフォームは共に検査され、同システムが標準的な稼働を終えた後でも耐久性を維持していることが示されました。
この撤去作業では、必要な船舶が最小限であること、天候リスクが低いこと、安全な港湾環境において陸上の標準的な設備のみですべての揚重作業が完了すること、およびが環境への影響が少ないこと軽が示され、着床式洋上風力発電と比較してWindFloat®の利点が実証されました。
2017年、プラットフォームと風力タービンを含むWindFloat 1のシステムは、キンカーディン洋上風力発電所開発の一環として、スコットランドにおける再展開のためにCobra Offshore Wind Limitedに売却されました。同システムは、2020年の後半まで稼働し、クリーンな再生可能エネルギーをさらに8 GWh 生成した後、プロジェクトの第2フェーズとなる9.5 MWユニット5 基の設置のために撤去されました。
これは既設の洋上風力プラットフォームとタービンを、気象海象条件が異なるまったく新しい場所に移設した初めての例であり、浮体式洋上風力技術の優れた柔軟性を実証しました。