地域社会への経済波及効果
大規模な浮体式洋上風力発電プロジェクトの建設と維持には、労働力開発、地域のサプライ チェーン、港湾などの支援インフラに多額の投資が必要となります。長期的かつ持続可能な成長を支える適切な政策や規制があれば、この産業は世界中の沿岸地域に比類のない経済成長をもたらす可能性を秘めています。
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、2018年の報告書において、0.5 GWの洋上風力発電プロジェクト1件は、その稼働期間にわたって年間約10,000人の直接雇用を生み出すと推定しています。1,400GWのプロジェクトで考えると、通年で約3,000万人の雇用を創出できる可能性を秘めており、雇用創出の機会の規模が大きいことは明白です。
洋上風力発電プロジェクトは、風力タービン、鋼構造物製作・組立て、電力ケーブル、電気部品などの高価値製品、並びにプロジェクトを25 年以上の期間にわたって設置および維持するために必要な船舶と労働力に対する膨大な需要を生み出します。
洋上風力発電のサプライチェーンは、近年の経済低迷によって打撃を受けている石油・ガスや造船など他の海洋関連産業で求められる専門的な能力とスキルを基盤としています。
したがって、洋上風力発電産業は、打撃を受けた沿岸地域を活性化する機会をもたらし、労働者が大きなそして長期的な可能性を秘めたより持続可能な産業に移行するための道筋を提供します。
風力タービンや基礎の規模が大きいため、多くの場合、プロジェクトの実施場所の近くで部品を製造し、組み立てることが最も効率的です。
サプライチェーンの現地化とそれに伴う雇用創出は、サプライヤーが投資に必要な自信を持つことが重要であり、それは長期的で安定したプロジェクトパイプラインがある場合にのみ可能になります。したがって、政策立案者は、政策や規制の環境を整え、産業界と協力して既存の能力を生かしたサプライチェーン・クラスターを確立し、大規模な展開をサポートするインフラを確保する上で重要な役割を担っているのです。
洋上風力発電はグローバルな産業であるため、現地のサプライチェーンが世界の舞台で競争できるように成長できれば、大きな輸出機会が生まれます。そのため、政府の政策としては現地調達を義務化せず、コスト競争力を高めることが重要になります。浮体式洋上風力発電はまだまだ創成期ですが、先手を打って国内の浮体式洋上風力発電産業を発展させる条件を整えた国には、大きなチャンスがもたらされるでしょう。
WindFloat Tは、プレコマーシャルやフルスケールの商業プロジェクトの開発と、当社の研究開発協力を通じて、すでに地域社会に価値を提供しています。
WindFloat Fは2011年以降のプリンシプル・パワーの運転実績に基づいて、同様のステップを踏む予定です。
プリンシプルパワーは、他の業界リーダーと共に、RenewableUK’s 2020 報告書「浮体式風力発電: 英国業界の野望」の作成に貢献しました。本報告書は、2050年までに英国が75GWの洋上風力発電を実現する上で、浮体式風力発電が果たすことができる重要な役割を示しています。
本報告書は、適切な規制環境と政府の支援があれば、浮体式風力発電は以下を実現できる可能性があると結論付けています。
米国西海岸、韓国、地中海沿岸、ヨーロッパの大西洋海岸など、様々な地域でも同様の経済的利益が期待されています。